【ファンファン北九州#07】京都郡在住の作家 町田その子さん<前編>
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
新作の舞台は門司港のコンビニエンスストア
甲木:おはようございます!西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。
横山:おはようございます!西日本新聞社の横山智徳です。
甲木:横山さん、今日はリラックスしてるみたいですね。
横山:はい!今日は本当に楽しみにしてたんですよ。
甲木:それでは早速、本日のゲストをお呼びしましょう!京都(みやこ)郡在住の作家 町田その子さんです。よろしくお願いします!
町田:よろしくお願いします。
甲木:京都郡在住ということで、すごい身近に作家さんがいらっしゃったんだなぁと思ったんですけれども。町田さんのプロフィールをご紹介いただいてもいいですか?
町田:はい。2016年に新潮社さん主催の「女による女のためのR-18文学賞」で賞を受賞して、デビューをしました。
甲木:賞を受賞された作家さんということなんですけれども、最新作がなんと門司港を舞台にした。
横山:「コンビニ兄弟」(新潮社)!
甲木:これはどんなお話なんですか?
町田:はい。ご紹介にもあった通り、門司港と門司港にある架空のコンビニを舞台にした物語です。
甲木:なぜコンビニが舞台なのか、この登場人物も含めてですけども、着想っていうのはどういう風に浮かぶものなんですか?
町田:今回の「コンビニ兄弟」に関しては、みんなの身近な場所ってまずどこだろうって担当さんと話しまして。それで、私がコンビニが好きなので「コンビニどうですか?」って話をしてコンビニになりました。
甲木:やっぱりコンビニ好きなんですね!
町田:あの田舎なので、夜中にどっか出かけたいってなったときにコンビニしかないので。(笑)
コンビニ食材のアレンジレシピも必見
甲木:この小説読んでいると、「テンダネス」ってコンビニが会社の隣にできてほしい!このイートインスペースに行きたい!って感じになりますよね。そして、食べ物の描写がすごくリアルなんですが、やっぱり食へのこだわりがお強いですか?
町田:そうですね。飲んだり食べたりするのはすごく好きなので。食べ物を書くところは、割と力を入れて書いてます。
横山:それこそ、作中に茶碗蒸しで雑炊をしてみたり、いろいろなアレンジレシピが出てくるじゃないですか。
町田:はい。あれは、家族で試行錯誤というか、すべて一回自分たちで作って食べて「美味しかったね」というものだけを書いてます。
文章リズムを身につけるためにやったこと
甲木:あと、西日本新聞のインタビュー記事で読んだんですけれども、小説家になるためには独学だったと。
町田:そうですね。作家を目指したときに、やっぱり全然上手くいかなくて。プロになれるにはどうしたらいいのかなというところで、いろんな本を読みました。それこそ、自分が今までなかなか手に取らなかった本、作家さん、そういった本をなるべく好き嫌いなく読みました。そのあとに、文章リズムっていうのはなかなか身につくものじゃないので、たった1回だけですけど、桜庭一樹さんの「私の男」(文藝春秋)という大好きな本を丸々1冊タイプして写しました。「こんなすごいものを書けるには、どうしたらいいのだろう」っていうことで。
甲木:受験勉強みたいですよね。受験生が新聞コラムを写すみたいな。
町田:そうですね。やっぱり、句読点の位置であったり、言葉の選び方とか。「私だったらここで句読点打つのにな」とかいうことを考えながら、丸写しするっていうのがすごく勉強になって。その分ちょっと疲れたので、1冊で辞めちゃったんですけど。(笑) でも、「何かもらおう」と思って写すのはすごく勉強になるなって。
甲木:それってリスナーの中でも、小説家を目指している人には良い勉強法かもしれないですよね。
町田:そうですね。憧れている作家さん、好きな作家さんの作品を丸々写して、「何でここでこの文章を出したんだろう?何でここでこんなセリフを入れたんだろう?」っていうことを考えながら、「私だったらこうするのにな」っていうのは勉強になると思います。
甲木:なるほど!
町田:あとは、語彙よりもまず感情の書き方ですね。「何でこの人は泣いているんだろう?何でこの人は笑っているんだろう?」っていうところに、説得力を持たせないといけないので。例えば、幼稚園児の気持ちを書くのに、難しい言葉っていらないじゃないですか。それよりは、表現力とか描写とかですかね。
作中に出てくるおじいさんのモデルは?
甲木:「コンビニ兄弟」の中にも、いろんな年代の方が登場するんですけど、女子中学生ってこういう物言いするな、お年寄りだとこういう話し方だよなっていうのがすごくリアルに感じるんですけど、これもやっぱりお勉強なんですか?
町田:どちらかというと、人間観察が好きで。あとは、今まで職場とかで変わった人がいたら、ずっと見てたりとか。(笑) 「コンビニ兄弟」におじいさんが出てくるんですけど、これはうちの父がモデルなんですよ。
甲木・横山:そうなんですか!?
町田:はい。なので、今回読んで、この人には共感できるとかそういう人がいればいいなと。あえて、小学生からおじいちゃんまで出してるんですよ。例えば、奥さんが「あ!これうちの旦那だわ」って言ってくれてもいいですし、中学生が「あー、こういう子いるいる!」って言ってくれてもいいですし。そういうことを、いろんな年齢の人に楽しんでもらえるようにと意識して書きました。
まだまだ書き足りない門司港の魅力
甲木:コンビニが舞台なので、お客さんが出てくればいくらでも続編が書けそうですね。
町田:そうですね。あとは、もっと門司港の良いところを書きたいなって思いますね。人間模様もですけど、まだまだ、書いていない門司港の場所や名所みたいなところもありますし、下関側から見た門司港とかそういうのを書いてみたいですね。あと、観光客もあまり書いてないので、門司港の焼きカレーとか今回全く取り扱ってないんですよ。
甲木:じゃあ、観光客目線も続編では。
町田:書きたいなと思ってます!
横山:楽しみですね!僕、熊本から出てきた女の子がその後どうなっていくか…。
町田:そうですね。出てくる予定なんですけど。
甲木:あー!読みたいね!そして、さっき町田さんがおっしゃったように、門司港の魅力がたくさん書かれているので、多くの人に北九州に訪れていただきたいなと思いますよね。
町田:そうですね。北九州と門司港、改めて来て良かったなって思ってもらえたらなって思います。
甲木:北九州市民は知ってますけれども、福岡の方とかは北九州市はあんまり観光地と思ってなかったりもするので、ぜひこの小説で!!
町田:そうですね!再確認というか、「あー割といいな!」って思ってもらえたら良いなと思います。
〇ゲスト:町田その子さん(福岡県京都郡在住の作家)
新潮社ホームページはこちら→ https://www.shinchosha.co.jp/writer/6015/
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)
〇Twitter 横山:https://twitter.com/tomonori76 梁:https://twitter.com/kyoshoryo
〇ファンファン北九州へのメッセージはこちら→ fanfun.kitakyushu@nishinippon-np.jp
ファンファン北九州は、毎週木曜10時47分~57分、クロスFMほかPodcastやSpotifyで放送中!
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(西日本新聞社北九州本社)