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北九州の酒文化「角打ち」に初めて行ってみた 体験して気づいた<魅力と楽しみ方>とは?【北九州市小倉北区】

(アイキャッチ画像:「末松酒店」の角打ちの様子)

北九州で長く受け継がれてきた“角打ち文化”。詳しくは後述しますが、酒屋で飲酒することを指します。

筆者は生まれも育ちも北九州ですが、「角打ち」を体験したことがありませんでした。

「角打ちのことを知りたい、楽しみ方を知りたい」──そうした思いから今年3月、実際に角打ちを体験してみました。

「北九州角打ち文化研究会(以下、角文研)」のメンバーとともに、老舗酒屋の角打ちを訪れ、基本的なルールや楽しみ方、そしてそこで生まれる人と人とのつながりについて紹介します。

そもそも「角打ち」とは何か ?

北九州で「酒」といえば、角打ちを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。

今回、2005年に角打ち愛好家の仲間と“角文研”を立ち上げた金成子さんに話を聞くため、メンバー7人との角打ちに同行しました。

角文研によると、明治期の炭坑や官営八幡製鉄所をはじめとした北九州工業地帯において、産業革命以降の労働者たちが短時間で酒をたしなみ、憩いの場に変えてきたという歴史的な背景があるといいます。それが“文化”として、脈々と現代にも続いてきました。

さらに、角文研の調査によると、2005年頃の北九州には約300軒の角打ち店がありましたが、現在は60軒ほどに減少。いろいろな事情がありますが、主には店主の高齢化と後継者不足が要因のようです。

「立ち飲み」と「角打ち」は別もの

金さんに、角打ちとは何かと尋ねると、「酒屋の店先で酒を飲むことですよ」とシンプルで分かりやすい答えが返ってきました。

たとえば小倉北区の街を歩くと、立ち飲み専門の飲食店が点在しています。しかし、それらをすべて「角打ち」と呼ぶわけではありません。

総務省の日本標準産業分類では、立ち飲み店を含む飲食店は「宿泊業、飲食サービス業」に分類される一方、角打ちを行う酒屋は「卸売業、小売業」に分類されています。つまり、角打ちは本来「酒屋」で営まれるものであり、一般的な立ち飲み店とは業種が異なります。

つまり、“飲食店のようにサービスを求めることはできない”という心得が必要。「立ち飲み=角打ち」と認識されがちですが、それは誤解です。

言葉の由来を知ると面白い

「角打ち」という言葉の由来には諸説ありますが、有力なのは「四角いかたちの枡(ます)の角から直接酒を飲む」という分かりやすいところからきていようです。

言葉の由来を知ると、より楽しめる気がします。

角打ちはじめて体験!老舗酒屋で知った粋な楽しみ方

この日に訪れたのは、金さん行きつけの角打ち店「末松酒店」(小倉北区室町)。大正3年創業の老舗酒屋で、長年にわたり地域の人々に親しまれています。

老舗酒屋の雰囲気を楽しむ

店の扉の先は、入口から続く長いカウンターと壁沿いに設置された小さなテーブル、奥には酒メーカー専用のカウンターがありました。

店主・末松さんに聞くと、古くからの常連さんは特に奥のカウンターにいることが多いとのこと。

既存の角打ちができる酒屋の店内は、レイアウト自体は異なるものの、商品を背にして設置された長いカウンターとテーブルが定番のスタイルのようです。

この日、常連や先客たちの多くは、すでに奥のカウンターに着席。挨拶をすると、店内に和やかな空気が漂いはじめた気がしました。

筆者も受け入れてもらえた気がして、少しホッとしました。

セルフスタイルだからこそ楽しめる角打ちの魅力

店内には、それほど大きくないガラス扉の冷蔵庫があることに気づきます。

金さんから「飲むものはこの冷蔵庫から選んでもいいし、日本酒などは店の人に一杯単位の量り売りもオーダーできますよ」と声をかけられました。つまり、酒の提供はセルフスタイルということです。

まずはビールにしました。冷蔵庫にない瓶を希望する場合は、店主に伝えると提供してくれます。

アルコールを飲まない人は、ノンアルコールの酒類やジュース、茶などを選んでも大丈夫です。

角打ちならではの楽しみ方と粋な作法

金さんとメンバーに互いに初めましての挨拶をし乾杯すると、話に花が咲き10分もしないうちに打ち解けた感じがしました。

飲食店ではないので、料理の提供は行われません。酒の肴(アテ)になるスルメやナッツなどの乾き物、火を通さないチーズ、練り物、スナックなどの菓子などは陳列されていました。

肴の内容は店によってさまざまです。いろいろシェアすると、より楽しめます。

同店では、店内で販売している調理済みの品を選ぶと、店主がトースターで焼いたり、電子レンジで温めたりして提供してくれます。あくまで簡単な加熱が中心で、本格的な調理を行う飲食店とは異なります。

気になる日本酒の量り売りを、店の人に注文してみました。

なみなみに注がれたグラスの日本酒は、手元に持ってこようと動かせば、こぼれてしまいそうです。

グラスの酒を前にし、どのように飲もうかとためらっていると、金さんから「口元をグラスに寄せて、ちょっと飲んでから、グラスを動かせばこぼすことはありません」とアドバイス。

チャレンジしてみると、確かにスムーズに飲むことができました。少し通な飲み方ができた気がしました。

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