【ファンファン北九州#03】小倉焼うどん研究所所長 竹中康二さん<前編>
西日本新聞社北九州支社が自社制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
焼うどんを小倉の文化に 小倉焼うどん研究所の所長・竹中康二さん
甲木:こんにちは、西日本新聞社の甲木正子です。
横山:こんにちは、西日本新聞社の横山智徳です。
甲木:横山さん、初登場ですね。
横山:はい、初登場です。横山と梁が交代で賑やかしを務めていこうかなと思ってます。よろしくお願いします。
甲木:それでは早速、本日のゲストをお呼びしましょう!小倉焼うどん研究所 所長 竹中康二さんです。よろしくお願いします。
竹中:よろしくお願いします。
「小倉焼うどん研究所」っち何を研究しよるん?
甲木:竹中さん、いきなり「研究所」なんですけど、北九州ビギナーさんのために「小倉焼うどん研究所」とは何かについてご説明願いますか。
竹中:怪しいですよね、だいたいね。
甲木:うん。
竹中:「うん」って。食い気味に「うん」って言いましたね、今。(笑)
たしかに、初めて聞いた人からみれば怪しいと思うんですよ、研究所とかいって。決して、いつも白衣着て、メスシリンダーで計ったりとか、ビーカー振ってるんじゃないんですよ。(笑) 実は、知らない方もいらっしゃるんじゃないかと思うんですけど、焼うどんって、北九州・小倉が発祥の地なんですよ。で、発祥のお店もあって、そういう歴史的背景があるのに、ちょっと前まで誰もって言っていいくらい、焼うどんが小倉発祥だということを知らなかったんですよね。
横山:ほぉー。
竹中:これもったいないよねと。このことを上手く活用して、街の賑やかしとか観光のコンテンツにならないかなと思って、ちょっと頑張ろう!と思った人間たちの集まりなんですよ。
甲木:それが研究所!?(笑)
竹中:そうそうそう。
甲木:何人ぐらいいるんですか?
竹中:普段の活動は大体15人ぐらいかな。
甲木:なるほど。その人たちって、本業が焼うどん屋さんじゃないんですよね?
竹中:基本的には今は焼うどんを生業としている人は一人もいないですね。
横山:一人もいない!?
竹中:基本的には普通の会社員であったり、主婦だったり、学生だったり、あとニートだったり、いろんなことやっている人が。街づくりの一環というか、ボランティアだったり、それぞれのサードプレイスとしての役割を「焼うどん研究所」は持っているのかなと思っています。
「天下分け麺の戦い」で気づいたこと
甲木:私も実は昔、北九州で記者活動やってたことがあって。思い出深いイベントとしては、小倉城であった「天下分け麺の戦い」ですよ。
竹中:「天下分け麺」が2002年。ちょうど小倉城が400周年の年で。それに合わせて、焼うどんを使ってイベントをしようというときに、焼うどんと何かを戦わせようと。焼うどんの目の上のたんこぶというか、永遠の敵っていうのは「焼きそば」だろうと。で、その時すでに、焼きそばで街の活性化を図るような活動をしてた「富士宮焼きそば学会」というのがありまして。
横山:そっちは学会なんですね。
竹中:学会です。その団体を招いて、小倉城で400人に食べ比べをしてもらうイベント。結構これ、テレビとかにも出て。
甲木:そう、キー局が取材に来ましたよね。
竹中:そうそうそう!これは人を招くコンテンツになるんだと。焼うどんで、街の活性を図ることができるんだ、という可能性が見出せたというのが一番の成果ですね。まぁ、それがあったから、ズルズル20年近くやってきてしまって。
横山:麺だけに。
竹中:そうそう。(笑)
横山:すみません。すみません。そんなこと言わなくて良かったですね。(汗)
食での街おこしの課題・・・
甲木:その食で街おこしというのは全国的にも浸透して、常識というか、そういうふうになっていると思うんですけど。
竹中:そうですよね。ただ、最近、B-1グランプリひとつとってもそうなんですけど。一時期はB級グルメとかいう言葉がもてはやされたんですけど、今は、ほとんど聞かなくなってきたんじゃないかなーと思っているんですよ。
甲木:それは原因があるんでしょうか?
竹中:いろんな原因があると思うんですよ。その要因は、3つぐらい挙げられるんじゃないかなと。その一つがマスコミですよね。電波媒体、紙媒体かかわらず。あのー、やっぱり…こう。
甲木:マスコミですか。(笑)
竹中:特に料理番組とか、旅番組とか、インパクトのある商品、話題性のある商品を掲げていった方が、視聴者の関心も向くと思うんですけど。新しいもの、インパクトの強いものを求めていく中で、こういう発祥の食べ物というのは、どんどん注目を浴びなくなるのかなーとか。二つ目としては、行政とか。食を表に出す中でも、事業体が必要だと思うんですよ。例えば、「食を活用して、街づくりすると良いらしいよ」という方が、予算や担当者を付けても、予算も1年間で終わったり、担当者も3年で代わってしまって、(次の)担当者のモチベーションも下がったとか。「たしか、あそこの街は焼きそばで頑張っていたけど」とか言ったら、「あー、もう担当者代わったから、今しよらんよー」とか。
甲木・横山:あぁ…。
竹中:そういうのが現状あったりとか…。
甲木:ありがちですねー。
竹中:まぁ、それは食だけじゃないんですけどね。あと、旗印となってきたB級グルメ、B-1グランプリっていうイベント自体も、最初は「地方の活性化のため」にって言っていたものが、B-1グランプリというブランド力を維持するために、保身として事業をして。どうしても、ブームを作っていく立役者がいる反面、それを維持しようとすると、既得権益なんかを主張しだしたりとかですね。もしくは、ご当地グルメはビジネスとして活用できるとなってくると、本来の地方の活性化っていう趣旨とは変わってくるとかですね。ブームっていうのは、もう正直去ってると言っていいんじゃないのかなと思います。
焼うどんをブームから文化へ
甲木:本来の食を使って、地域の魅力を知ってほしいという趣旨から、どんどんズレてきたって感じなんですか?
竹中:そうですね。例えば、昔はあの「温泉ブーム」とか言い方があったんですよね。でも、温泉って本当に太閤殿下も入ったくらい何百年、何千年って伝わってる、それくらいのブームなんですけど。それが一時的になったとしても、未だにずっと残ってるのは、温泉が文化になっているからだと思うんですよ。人が生きていく上では、食べるっていう欲求は絶対終わらないので、ブームとしては去っても、文化としては残っていくと思うんですよね。だから、ご当地グルメ文化というのは今後もあり続けると思っております。
甲木:ブームじゃなくて文化。文化として焼うどんを研究するんですね。
竹中:そうですね。研究という名の活用活動をしていくって感じですね。
竹中さんの文化を守る取り組み。後編に続く…!
甲木:いやーちょっと、深い話になったところではあるんですが、あの、今日のお時間がきてしまいまして。
竹中:そうなんですか!?(笑)
甲木:すみません、10分番組なんで。(笑)今日のところはこの辺でお話を終わっていただいて。次回は文化を守る人として、今新たに取り組んでいらっしゃることについて、お話を伺いたいと思います。
〇ゲスト:竹中康二さん(小倉焼うどん研究所)
小倉焼うどん研究所ホームページはこちら→https://www.kokurayakiudon.com/
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)
〇Twitter 横山:https://twitter.com/tomonori76 梁:https://twitter.com/kyoshoryo
〇ファンファン北九州へのメッセージはこちら→ fanfun.kitakyushu@nishinippon-np.jp
(西日本新聞社北九州本社)
ファンファン北九州は、毎週木曜10時47分~57分、クロスFMほかPodcastやSpotifyで放送中!
Podcastで【ファンファン北九州 #03】小倉焼うどん研究所所長 竹中康二さん<前編>を聞く
(西日本新聞社北九州本社)