雨の日もご機嫌で過ごせる粋な傘 小倉 縞縞「小倉織 晴雨兼用傘」
2021年5月13日、北九州市の伝統織物である「小倉織」製品のデザイン企画・製造を行う、株式会社 小倉縞縞から、新たに人気の2柄が「小倉織 晴雨兼用傘」(33,000円)として登場。同社直営店本店、小倉井筒屋店、オンラインショップで販売を開始した。
同社は小倉織の伝統的な縞模様を、色鮮やかな染糸を用いて現代的に再現。今の感性にフィットするモダンなテキスタイルが魅力だ。
今回新発売となったのは、モノトーンのグラデーションがシックな雰囲気の「#60 無彩流」と、色鮮やかなマルチストライプ柄ながら落ち着いた印象の「#62 黒多彩2014」。
商品の特長
同商品は、「伝統ある小倉織を日常遣いできるように」という思いから製作された。小倉織の魅力であるシルクのようになめらかな布地の質感と、端正で複雑な縞模様の美しさを堪能できるこだわりの逸品だ。
小倉織に精通したベテランの傘職人が一本一本手作業で製作しており、熟練の技術による丁寧な柄合わせが縞の立体感をより際立たせている。
小倉織は高密度であることから、もともと撥水性を持っているが、さらに撥水加工とUVカット加工を施し機能性を高めた。どちらも百貨店の規格をクリアした高水準のコーティングで劣化が少なく、長く愛用することができる。
生地だけではなくパーツの素材にもこだわり抜いた。中棒部分は入手の難しい国産の樫の木を、持ち手には高品質の天然木を使用。天然木の深い色合いが、生地の贅沢感をいっそう引き立たせている。
途方もなく手間のかかる織物、それが小倉織
「小倉 縞縞」ブランドの生地はすべて、小倉織の第一人者であり、染織家・テキスタイルデザイナーの築城則子氏によるオリジナルデザイン。商品化の際は同氏の作成した「縞割表」を基に、織布工場の職人が、一本一本染糸をセッティングし生地を織り上げていく。
そして、ヨコ糸の約3倍ものタテ糸を使用する小倉織独自の製法は、糸が切れて機械が止まりやすい。切れた場合は膨大な数の糸の中から切れた一本の糸を探し出し、手作業で修復しなければならない。まさに職人たちの根気と技術の結晶なのだ。
伝統の灯を絶やさぬよう、新しい時代にマッチしたものづくりを
江戸時代初期に豊前小倉藩(福岡県北九州市)で誕生した小倉織は、袴や帯などとして織られ、時の将軍である徳川家康にも愛された。丈夫でしなやかな小倉織は日本全国で珍重され、明治期には男子の学生服にも採用されたが、その人気ゆえに粗悪な模倣品が出回り人気が低迷。後継者がいなくなり、戦時下の混乱の中でついに途絶えてしまう。
それから数十年が経過した1984年、築城則子氏によって小倉織は復元され、現代の布として再生した。
そして、伝統ある小倉織の特長を継承しながらも、新しい時代の「小倉織」として誕生したブランドが「小倉 縞縞」である。海外の見本市にも積極的に出展し、高い評価を得たことで需要が高まり、2018年に小倉北区紺屋町に製造元である工場を立ち上げ、小倉織の生産を開始。バッグや財布などの身近な小物類から、洋服、インテリアまで、現代のライフスタイルにマッチした商品展開を行っている。
こちらの「縞縞 撥水風呂敷 90cm×90 cm」も人気商品のひとつ。傘と同じく撥水加工を施しており、梅雨どきのお出かけにおすすめである。
いつか小倉織を“世界のKOKURA STRIPES”に
今回取材をさせていただいた、(株)小倉縞縞 企画部マネージャーの松元さんに今後の展望を伺ったところ、「小倉織を世界的なテキスタイルにしたい。小倉織を知らない方が、『素敵!』と、ひと目で惹きつけられるような商品づくりや、企画をしていきたい」と熱く語ってくださった。
小倉織がいつか“世界のKOKURA STRIPES”になるように、同社ではこれからも小倉織の普及と発展に情熱を注いでいく。
例年になく早い梅雨入りの2021年。どんよりとした天気に気分も沈みがちになるからこそ、雨の日が楽しみになるようなこだわりの傘を持って、憂鬱な梅雨どきを明るく過ごしたいものだ。
※2021年6月3日現在の情報です
(ライター・富下夏美)