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「子連れ出張」で両立 必要な人に届けたい「アレルギーロゼット」

北九州市在住で、現在3人の子どもを育てるパワフルママ。

ワークショップやイベントなどで、ハンドメイド講師として活動する「子連れ出張。ありんこ。」の松原佳恵子さんは、国家資格である介護福祉士のほか、アロマアドバイザー、歯固め、アクセサリー(リボン、ビジューアクセサリー)などさまざまな資格を持ちます。

昨年10月にUN-DECORロゼットの講師資格を取得(※1)。喘息を患う松原さんは、同じように悩んでいる人がいるはず…と、喘息やアレルギーを持っていることが周りの人にわかるよう、中央部分にメッセージを印字するロゼットの製作をしています。コロナ禍により街中で咳をするのもはばかれるの中、「必要な人に届けたい」と語ります。

※1
ロゼット:ナポレオンが帽子に着けたバッジとして「リボンの勲章」とも呼ばれている
UN-DECORロゼットの講師資格:針、糸を使用せずに作成できるロゼット。資格取得により商品の販売やレッスンが可能となる資格

いつも子どもと一緒に

大人向けレジンアクセサリー 画像提供:子連れ出張。ありんこ。

-資格をたくさんお持ちですよね。どのようなきっかけで、これだけの資格を取得したのでしょう?
「介護福祉士として市内で働いているときに、スキルアップのため、アロマアドバイザーの資格を取得しました。ところが2017年に主人の転勤でマレーシアへ引っ越すことになり退職しました。1年で帰国しましたが、その時は3番目の子どもを妊娠中で。ものづくりは元々好きだったのですが、時間があるし、子どもに何か作ってあげようと思うお母さんの手助けになればと、資格を取りました。興味を持ち、作りたいと思ったものは全て講師資格まで取得しています」

―介護士として復帰せず、そこから講師の道に踏み込んだということですね。「子連れ出張」というのは、お子さんを連れて活動しているということでしょうか?
「イベントやワークショップなどはいつも子どもと一緒に行きます。迷惑になることもあるかなと思ったりもしましたが、子育て中のお母さん方から『先生も子供がいるなら行きやすい』と言ってもらえることが多く、悩みも消え去りました。とてもありがたいです」

同じように苦しんでいる人に届けたい

アレルギーロゼット 画像提供:子連れ出張。ありんこ。

―喘息の症状が出だしたのは最近ですか?
「喘息は20代前半からです。3年ほど前から症状がひどくなり歩けなくなったこともあります。食物アレルギーがあることが最近わかって、牛肉が原因だと知りました。アナフィラキシー(呼吸器の症状)が出るようになって、今はエピペン(※2)持ちです」

※2
エピペン:アナフィラキシーの症状が出た際に、症状を一時的に緩和しショックを防ぐためのアドレナリン自己注射薬

―牛肉のアレルギーだと食べられるものも限られますよね…
「牛脂や牛エキスが入っていてもアレルギー症状が出るので外食が大変です。友人には迷惑になると思い伝えられず外食を共にし、突然入院することになって迷惑をかけることもありました」

―特に今は、コロナのこともありますし、咳が出ることで周囲の目も気になりますよね。
「周りの人が嫌な思いをしていないか、苦しいながらも心配になります。母も喘息持ちですが、通勤にバスを利用しています。咳が出ないように、ガムを噛んだり、喉を潤したり、マスクをつけるなど、自分にできることはしていたのですが、咳が出ることは止められず。バスで咳をしていたら、『気持ち悪い』と言われたり、席を立たれたりということがあったと聞きました。そういう人の気持ちもわかるんです。症状が出ることで、嫌な思いをしたということより、申し訳なさがつのって…どうにもできない現状がつらかった」

―喘息ですって言い回ることもできないですよね。同じように苦しんでいる人はたくさんいる気がします。
「喘息や食物アレルギーのことを、友人やすれ違う人が“見たらわかる状態”にすることで、お互いの安心に繋がらないかなと思ったときにアレルギーロゼットを作ろうと思いました。他にも同じような状況に置かれている人は必ずいると思うので、必要としている人にアレルギーロゼットを届けたいです」

子育ての輪が広がれば

歯固め 画像提供:子連れ出張。ありんこ。

―松原さんは、自身の経験から資格の取得、ものづくりのきっかけになっているような印象です。
「歯固めは、子どもが産まれてから単純にかわいいと自分が欲しかったこともありますが、ワークショップをすることで、子育て中のお母さんたちのお話の場になったらいいなとも思いました。子育ての輪が広がればうれしいですし、ワークショップで作ったオリジナルの歯固めは、お母さんから子どもへのプレゼントとして特別なおもちゃにもなります」

親子向けレジンアクセサリー 画像提供:子連れ出張。ありんこ。

―ほかのワークショップのきっかけも、同じように特別なものになるということから?
「親子教室を開いて、アクセサリーを真剣に作っている姿や、出来上がった作品を親子で見せあいこ、お子さんがお母さんにサプライズでプレゼントしている姿などを見るのが好きで。お子さんだけではなく、親子の思い出になると思っています。スワロフスキーレッスンは、おしゃれがなかなかできないお母さん向けに開催していて、短い”自分時間”を使って作ったアクセサリーで、おでかけがいつも以上に楽しくなるようになればと。人気のワークショップです」

「タッチングケア」でみんなが笑顔になれば

画像提供:子連れ出張。ありんこ。

―子育てをしながら仕事を両立させるのは大変だと思います。
「時間がいくらあっても足りないです。家族が最優先と決めて始めた仕事ですが、家族に助けられている面も多くあります。自分のやりたいこと、子どもにしてあげたいことがたくさんあり、毎日のスケジュールはびっしり詰まっているので、もう少し余裕が持てたらと思うことは多々あります」

―家族で支えあっているからこそ、松原さんの活動ができている?
「子どもを連れて行ける仕事をしたいと思っていたので、イベントなど一緒に行けますし、自分のやりたかった形で仕事ができています。製作や販売も子どもに体験させてあげられるので、楽しく仕事をさせてもらっています。子どもが一緒だと周囲への配慮や大荷物、抱っこで肩がパンパンになり、決して楽とは言えませんが、今しかできない大切な時間だと思っています」

―今後の活動は?
「介護従事者、医療従事者向けのタッチングケア講座(※3)を予定しています。介護の仕事をしているときから、介護施設の利用者さんに笑顔でいてもらうためにはどうすればいいかをずっと考えていました。そのためには、まず職員が笑顔でいることが重要かなと。利用者さんと職員がお互いに信頼関係を築き、住みやすい施設づくりができればいいなと思います。コロナが落ち着いたら本格的に活動していこうと思っていて、声をかけてくれている施設で講演を予定しています。家族目線で、自分の経験や資格を生かした話ができればいいなと考えています」

※3
タッチングケア:「触れる」だけで、心と体が軽くなるタッチングケア。ケガや病気を処置する「手当て」という言葉があるように、タッチングケアは「手の持つ治癒力」によりゆっくりとやさしく包みこむように肌に触れ、不調を緩和していくケアのことで、医療介護に関わる方や医療介護施設などにも活用されている

失敗を恐れずチャレンジを続ける

「自身の経験」と「人の喜ぶ顔をみたい」という2つの想いが松原さんの原動力となり、自分の経験はだれしもが経験することと考え、たくさんのことにチャレンジする松原さん。

苦労が多い中、活動を楽しみながら、母親としても強く一生懸命な姿に心を打たれました。今後の活動が楽しみです。

(北九州ノコト・大畠あずさ)
※5月27・28日に電話、メールにて取材を行いました。

事業名 子連れ出張。ありんこ。
代表 松原 佳恵子
資格・講師 介護福祉士
英国IFPA認定講座受講アロマアドバイザー
RibbonCoutureRiche認定講師 (リボン)
CoCobijou認定講師(ビジューアクセサリー)
TinyTeeth認定講師(歯がため)
ハーバリウムボールペン講師
UN-DECORロゼット講師
問い合わせ先 ・イベント、ワークショップは新型コロナ感染拡大防止の観点から中止、延期
・ロゼットやアクセサリーなどの問い合わせについては各SNSメッセージよりお問い合わせください
Instagram  https://www.instagram.com/arinko_kaekae/
Facebook  https://www.facebook.com/profile.php?id=100033977742695

 

 

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