旦過市場は「北九州の台所」 コロナ禍での新しい動きに注目集まる
約100年の歴史を誇り、“北九州の台所”とも呼ばれる「旦過(たんが)市場」(北九州市小倉北区)。
新型コロナの影響で旦過市場全体の客足が落ち込む中、「市場に元気を取り戻したい」と市場内で商店を営む若手7人が集まってオンラインサイトを立ち上げたり、若い世代による燻製専門店(詳しくはこちら)やカレー店(詳しくはこちら)などの新規出店があったりと、新しい動きにも注目が集まっています。
大正初期から続く市場 2021年度から再開発へ
大正初期、隣接する神獄(かんたけ)川を昇る船が荷をあげ商売を始めたことから始まったといわれる旦過市場。現在は約180mの道沿いに生鮮品店や飲食店など約110店舗が並びます。
多くの料理人たちも仕入れに訪れるという食材の豊富さはもちろん、建物の多くを占める昭和30年代に建てられた木造建築が市場全体に漂わせる昭和レトロ感も魅力の一つ。映画やドラマなどのロケ地にも使用されるなど、観光地としても親しまれています。
しかしながら、旦過市場沿いを流れる神獄川の水害に見舞われることも多く、老朽化も進んでいるため、再開発が行われることが決定。2021年度から着工し、2027年度に新しい旦過市場が完成する予定です。
「旦過」という地名の由来
「旦過」の由来には2つの説があると伝えられていますが、どちらの説も、1632(寛永9)年小笠原忠真公が小倉に移った時に、共に移ってきた「宗玄寺」(現在は小倉北区寿山町に移転)というお寺に密接な関係があると言われています。
小笠原忠真公と共に宗玄寺が移ってきた際、門前に、雲水(旅の僧)が資質を試す場所として宿泊所が造られました。一つ目の由来は、この宿泊所を「旦過寮」と呼んだこと、もう一つは宿泊した雲水たちが早朝に旅立ったことに由来しており、“旦=朝早く”という意味で「旦過」という地名が名付けられたと言われています。
北九州の特産品や北九州発祥「角打ち」など、魅力満載の市場
日本海、瀬戸内海、豊前海と3つの海と面しているため、1年中新鮮で種類の豊富な魚が獲れる北九州市。そのため、“北九州の台所”として北九州市民の食卓を長年支えてきた旦過市場には、アジやイワシといった“庶民の味方”から高級魚であるフグやアンコウなどまで鮮魚を中心に、野菜や食肉、乾物、果物、かまぼこ、製菓など多彩な食材が揃います。
市場を歩いていると、「合馬(おうま)たけのこ」「小倉牛」「床漬け」「フグ」「鯨」といった北九州の名物食材も多く目にしますが、中でも注目してほしいのが小倉の郷土料理「ぬかみそ炊き」。青魚をぬかみそ(ぬか床)で炊き込んだ「ぬかみそ炊き」の専門店は市場内に3店舗あり、それぞれのお店で長年受け継がれてきた「ぬか床」を使用しています。お店の人たちとの会話しながら、お気に入りの味を探せるのも市場ならではの醍醐味です。
また、「赤壁酒店」では、北九州発祥といわれる「角打ち」(酒販店の店頭で立ち飲みすること)を楽しむこともできます。
市場内にある「藍昊堂菓子舗(あおぞらどうかしほ)」の周辺では、フリーWi-Fiも利用できるそうです(利用可能時間/午前9時~午後7時)。
「旦過市場に元気を取り戻したい」若手が集まり、オンラインショップを立ち上げ
近年海外からの観光客も多く訪れて賑わっていた旦過市場が、コロナ禍ではそういった風景も見ることができなくなりました。そうした中、「旦過市場に元気を取り戻すきっかけになれば」と、市場内で商店を営む若手7人が集まって2020年9月に「旦過直送便 旦過市場公式オンラインショップ」を立ち上げました(既報)。
オンラインショップでは、黒毛和牛や天然マグロ、旦過名物のカナッペやぬかだきなど、各店舗自慢の品を集めた「旦過市場お取り寄せセット」(11品)が10,800円(税込)で購入できます。新型コロナの影響で遠出ができない今、直接北九州を訪れることができない人たちにとって嬉しい取り組みです。
※店頭での受付はなし、オンラインショップのみでの販売
旦過市場へのアクセスは?
JR小倉駅からだと、徒歩で約10分ほど。魚町銀天街を抜け、横断歩道を渡った先に旦過市場は見えてきます。
北九州モノレールの場合は、旦過駅が最寄り。そこから1分ほど歩けば、旦過市場です。
自家用車で訪れる場合は、旦過市場専用の駐車場がないため、近隣のコインパーキングなどを利用してください。
◆旦過市場 https://www.tangaichiba.jp/
(北九州ノコト編集部)