持続可能な開発の志を繋ぐ/北九州ESD協議会事務局長・山田大輔さん
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
ESDって何のこと?
甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。
井上:同じく、西日本新聞社の井上圭司です。
甲木:井上さん、前回のゲストの安藤進一さん、出版社を起業されたあの方の生き方って前、勤めてた会社にいる時に副業して資格も取って満を持して起業したということで、今時の素敵な生き方ですよね。
井上:そうですね。今、結構そういう方が増えてますよね。
甲木:実は今日のゲストの方は、ある会社にお勤めですけど、今、全々別の仕事をしているという、二つの人生を生きているような感じの方なんです。早速お呼びしましょう。北九州ESD協議会事務局長の山田大輔さんです。よろしくお願いします。
井上:よろしくお願いします。
山田:よろしくお願いします。
甲木:山田さん、北九州ESD協議会と紹介しましたけど、このアルファベットのESDが何のことか分からないリスナーの方、たくさんいらっしゃると思うので、是非ご説明をお願いします。
山田:はい。ESDという頭文字は“エデュケーション・フォー・サスティナブル・デべロップメント”ということで、皆様、SDGsの方が耳馴染みがあると思うんですけど、SDに関しては一緒のサスティナブル・ディベロップメントで、その頭にeducation(エデュケーション)が付いてます。
甲木:教育ということですね。
山田:そうなんです。皆さんの馴染みが深いところから言うと、SDGsの17の項目があると思うんですけど、やはりそれは開発目標ということでゴールなんですね。それを目的に進めていくために教育が必要だということで、概念が2002年の小泉純一郎さんが首相の時にヨハネスブルグサミットで提唱された考えが元になっています。
甲木:2002年ということは20年以上前ということですね。
井上:SDGsよりも早いということですね。
山田:SDGsは2015年からなんですけれども、それよりまたさらに13年前に提唱された考え方になっています。
甲木:持続可能な発展のためには、教育が必要であるという考え方なんですね?
山田:はい。日本語に戻すと、持続可能な開発のための教育ということで、文科省であったり、環境省の方では出ています。
89の団体と56の個人で構成
甲木:そのESDというのが北九州市に有るということですが、北九州市だから有るということですか?それともほかの所にも有るということでしょうか?
山田:日本全国いろんな所にあるんですけども、私たち北九州ESD協議会は2006年に、初代ムーブの所長の三隅佳子さんが副代表で、代表には、西日本で初めて公立の中学校で校長先生をされた寺坂カタヱさんです。お二人ともお亡くなりになってるんですけど、そのお二人が協議会を立ち上げられて、市民主体で公害克服のところから、女性団体が活躍してきた、北九州の歴史を汲み取った団体になっています。
甲木:なるほど。実際にそのESDの事務局長として、どんな活動をされているんですか?
山田:現在、北九州ESD協議会は89の団体と56の個人会員で構成されている団体になります。私たちは産学官民の四者を繋げる、プラットフォームとして組織しておりますので、どなたかが何かやりたいので、どういう人に繋げてほしいとか、この人と一緒に働いてみて、一緒に企画をしてみたら、もっと面白いことになるんじゃないかという、どちらかのコーディネート業務をメインに行っております。
甲木:はい。何かやりたいっていう活動は、ESDの理念に基づくものでしょうか?
山田:はい。先ほど申し上げた通り環境であったりですとか、そこから気候変動、それに紐づいて防災とか、ジェンダーだったり、水だったり、SDGsの17の項目は、何でもリンクしてくるんです。多くのことがリンクしていて、どれか一つ欠けてもいけないので、皆さんの特徴を生かしヒアリングしながら、いろんな人を掛け合わせていくというのが仕事ですね。
JR九州の休職制度を利用
甲木:滑らかにESD協議会について語って頂いた山田さんですけど、山田さんはESD協議会ができたときから、ずっと職員というわけではないんですよね?
山田:はい。私は今年度の4月からこちらの事務局長に就任させて頂ました。
甲木:今年度の4月ということは2022年の4月からですね。
山田:はい。ちょうど今十か月弱ぐらいですね。
甲木:山田さん、今36歳ですが、その前は何をされていましたか?
山田:元々鉄道員をしておりまして、私は元々北九州市の門司港の生まれなんですけれど、門司港といえば、やはり港の町であり、鉄道の町なんですね。JR九州に高校卒業後、就職しまして、今回、会社の方から休職制度のチャンスを頂きました。その休職制度を利用して、地元に何か貢献したいという思いが強く湧いてきたので、妻の反対を押し切って思い切って、今回、休職制度を利用し北九州に帰ってきたということです。
甲木:JR九州の休職制度というのは、どのような意味の休職制度なんですか?
山田:今までも休職制度はいくつかありましたが、今回新しくできた休職制度を利用させて頂きました。キャリアアップを積みたいと言う社員を支援してくれるための制度です。青年海外協力隊ですとか、そういうものでキャリアアップを積んだ、ワーキングホリデーなどで、その中の一つに他社で働いても良いと、ただし帰ってきなさい、ということになっています。もちろん帰ってきますが、そのように書いてあるのを見て、最近ご時世的にも副業の流れは結構強いと思っていまして、私たちは副業ができない為、その中で何かチャレンジしたくてもできなかったという、今までの流れがありました。しかしその新しい休職制度ができたおかげで、2年間チャンスをもらえました。思い立ったら即行動してしまう私なので、この制度を見た瞬間、チャレンジしようと思い今に至ります。
甲木:じゃあ2年間JRを休職して、このESD協議会のために働くわけですね。
山田:そうですね。
甲木:JRの社員としての身分が保証されていて、全く違うお仕事にチャレンジできて、地域の大学生とかと一緒に新しい事をできたりするから楽しいですよね。
山田:正直言うと、JR九州で働いてると出会えなかったであろう方々であったりですね、行くことができなかった場所に行くことができます。先日は大学生と一緒に、ゴミ収集車ビートルの西原商事さんの会社を訪問させて頂まして、JR九州で働いてると、なかなかそういう業種の方々とお付き合いすることがないからですね。
甲木:ビートルはビートルでも、JRでは海を渡って韓国へ行くビートルがありますね。
山田:JR九州はクイーンビートルもありますので、釜山の方にも皆さんお越し頂けると大変ありがたいです(笑)
甲木:ありがとうございます。井上さん、今日のお話を聞いてどうでしたか?
井上:先ほどイキのいい事務局長ということをご自身でもおっしゃってたんですけど、本当そのイキの良さっていうのはひしひしと伝わってきて、山田さんがどういう方なのかってもうちょっと知りたいなーって思います。
甲木:では、続きはまた来週お聞きすると言うことで。本日は北九州ESD協議会事務局長の山田大輔さんにお話を伺いました。山田さん、ありがとうございました。来週もよろしくお願いします
井上:ありがとうございました。
山田:ありがとうございました。
〇ゲスト:山田大輔さん(北九州ESD協議会)
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、井上圭司(同)
(西日本新聞北九州本社)