【ファンファン北九州#04】小倉焼うどん研究所所長 竹中康二さん<後編>
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。
発祥の地。坂田のおばあちゃんの「小倉だるま堂」を継承
甲木:先週に引き続き、「小倉焼うどん研究所」所長 竹中康二さんをゲストにお招きしています。さて、今回は、小倉焼うどん発祥の地である「だるま堂」を継承することになったというところのお話からお聞きしたいんですけど。
竹中:はい。西日本新聞社さんでも取り上げて頂いたんですけど、2019年に「だるま堂」を長く運営していた“坂田のおばちゃん”が亡くなられて…。「だるま堂」っていうのがご紹介あったように、焼うどん発祥の地なんですよね。これを潰してしまうのはやっぱりもったいないと。
横山:ですよね…。
竹中:自分たちも「焼うどん研究所」という形で、長らく焼うどんに取り組んできたからですね。だったら、自分たちでやろう!と。この発祥の地を引き継ぐに至ったわけです。
終戦から3か月。鳥町食道街(小倉北区)で生まれた小倉焼うどん
甲木:その発祥の地っていうのを、ビギナーさん向けに詳しくお話していただけますか?
竹中:この地球上に焼うどんという食べ物が生まれたのは、実はこの北九州は小倉の「鳥町食道街」というところなんです。それが、1945年の11月というふうに言われているんですけど。そのときに、この「だるま堂」の初代店主が、当時すでに人気があった焼きそばを作ろうと思っても、なかなか焼きそばの中華麺が入らなくて。店にあった乾しうどんを湯がいてお客様に提供したのが、焼うどんの発祥だと言われております。
甲木:1945年11月って終戦後3ヶ月ですよ。
竹中:そうです。闇市だったんですよね。
横山:あの辺りはってことですか?
竹中:そうですね。闇市からお店を始められて、11月の段階ではもう建屋ができてたそうです。
新店舗は西日本工業大学の学生さんと一緒にリノベーション
甲木:なるほどですね。でも、もちろん継承したい、文化を守りたい気持ちはわかるんですけど、それって並大抵のことじゃないって思うんですよね。皆さんお仕事もあるし…。
竹中:そうなんですよ。何が問題かって、今言われた75年前の建物なんですよ。本当に老朽化が激しくて…。
甲木:でも、今すっごいきれいになってるじゃないですか!
竹中:そうなんですよ。継承する、文化を守るにあたって、リノベートで街づくりっていうことにもしたかったし、多くの市民にも関わって頂きたかったので。西日本工業大学の学生さんにデザインの方をお願いしたんですよ。おかげさまで素晴らしいデザインをして頂いたのと、地元の檜を使ったカウンターを作ってくれたりとか。すごく地元色の強いお店ができたなーて思っております。
甲木:贅沢ですねー、檜のカウンター。
「小倉だるま堂」ジャズが流れるオシャレなお店へ そして情報発信の場所として
横山:僕らも先週行きましたよね。
竹中:なかなか雰囲気いいところができたんじゃないかなと思っています。
甲木:ジャズも流れたりなんかしてね。ちょっとお洒落な。
横山:それこそ、僕たちが行ったときは、後ろで食べてた初老のご夫婦は、懐かしいような話をされて。お父さんがお母さんに「昔はあーだった、こうだった」と言いながら、お食事されてましたよ。
竹中:「だるま堂」自体もそうなんですけど、昔は北九州の人が「街に行く」=小倉に行くことを言っていたんですよね。その中でも、「じゃあ、どこに行くの?」っていったときに「だるま堂」のある鳥町食道街でお食事をされるのが楽しみだったと。だから、デートスポットだったみたいですよ。北九州で一番熱い場所が鳥町食道街だったと。
甲木:東京に行った叔父とかも帰省してくる度に、まず、「だるま堂に行く!」って言ってたんですよ。
竹中:素晴らしい!
甲木:味もですね、坂田のおばちゃんがだんだん晩年になってくると「ちょっと味薄くなったんじゃない?」とか言われてたんですけど。(笑) 今の「だるま堂」はやっぱり昔の味に戻ってますよね。
竹中:そうですね。昔の味、晩年の味って言えないんですけど…。
甲木・横山:(笑い)
竹中:中には、「本当に同じ味を出してよ」っていうお客様もいらっしゃるんですよ。「本当に出していいの?」って言うんですけど。少なくとも一つ言えることは、同じ作り方で同じ食材を使っております。ただ、おばちゃんが晩年出していた焼うどんよりも、美味しい焼うどんを出している自信があります!
甲木・横山:(笑い)
甲木:美味しかったよね!
横山:美味しかった!
甲木:それと、「焼うどん研究所味」っていうほうも新発売でしょ?
竹中:そうなんですよ。どちらかというと、「だるま堂」の味ってシンプルであっさりしているんですけど、お子さま受けじゃなかったりするんですよね。もうちょっと甘めだったりとか、若い方なんかにも受け入れられるような、万人の方に受け入れられるよな「焼うどん研究所味」の焼うどんをお出ししております。
甲木:お持ち帰りもあっていいですよね。
竹中:そうですね。このご時世でもありますし、多くの方々に焼うどんを食べて頂きたいっていうのは、決して、焼うどんを売りたいっていうよりも、「北九州は焼うどん発祥の地なんだ」ということを多くの方々に知って頂きたいなと。そういう情報の発信の地に「だるま堂」がなっていけばなーというふうに思っております。
20年を迎える「小倉焼うどん研究所」のこれから
甲木:この前のお話でもありましたけど、焼うどん研究所ができて19年。2021年で20周年ですよね。これからに向けての抱負とかありますか?
竹中:そうですねー、「だるま堂」自体も75年続いてきたし、この焼うどんが北九州発祥の食文化ってことを今後とも発信していきたいなと思っております。20周年に向けて、いろんなイベントや取り組みも行っていきたいなと思っております。
甲木:何か今やりたいなと狙っているようなこととかあるんですか?
竹中:一つはですね、今、このご時世で国同士の間が遮断されているんですけど、今までは国内での街づくりを一つのコンテンツとして考えてきたんですけど、このアフターコロナの後には世界にも目を向けたいなと。実際、延期になっていますけど、北九州市も「東アジア文化都市」という事業をしてますよね。その一環で決まっているのが、韓国に行って焼うどんをやってこようと思っています。社会状況化の中でどうなるかわからないですけど、北九州のPRを焼うどんを通してしてこようと思っております。
甲木:是非焼いてほしいですね!韓国で!
竹中:そのあとは宇宙も目指そうかなと!
甲木:宇宙食良いですね!!
竹中:さっき、SNSに前澤社長から申請来てたんで。ちょっと宇宙まで持っていってもらおうかなっと!(笑)
甲木・横山:(笑い)
甲木:それは楽しみです!(笑)
〇ゲスト:竹中康二さん(小倉焼うどん研究所)
小倉焼うどん研究所ホームページはこちら→https://www.kokurayakiudon.com/
〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)
〇Twitter 横山:https://twitter.com/tomonori76 梁:https://twitter.com/kyoshoryo
〇ファンファン北九州へのメッセージはこちら→ fanfun.kitakyushu@nishinippon-np.jp
(西日本新聞社北九州本社)
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