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米国で日本庭園を造るようになったきっかけは?/江頭翠楽園・江頭博明さん

(アイキャッチ画像:ゲストの江頭博明さん)

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

そもそも、仕事をなぜアメリカで?

甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

横山:西日本新聞社の横山智徳です。

甲木:前回は、あのGoogleの副社長のお庭を作られたという話でしたね。

横山:すごかったですね…。

甲木:はい。今回もお招きしたいと思います。小倉北区の造園業、江頭翠楽園の園主・江頭博明さんです。江頭さん、よろしくお願いします。

江頭:よろしくお願いします。

横山:よろしくお願いします。

甲木:今回は、江頭さんがなぜアメリカで仕事をするようになったのかということから伺いたいのです。

江頭:はい。私は20歳の頃、京都に修業に出まして。その時は茶庭が作りたかったんです。その頃北九州では、庭イコール鯉がいるような池、というスタイルが流行っていましたが、私は石に穴を空けて、竹の筧(かけひ)から水がちょろちょろと出るような、蹲(つくばい)と言って茶庭で使うものを作りたかったのですが、そのためにはお茶をやらないとダメだと親方から言われて、茶道を始めたんです。

甲木・横山:へえ~!

江頭:それで北九州に帰ってからも茶道を続けまして、その時に知り合った先生の娘さんがアメリカにお住まいで、その方が、「アメリカに茶室を建てたから、江頭さんに是非茶庭を作ってほしい。来ていただけますか?」と電話で言ってきたんです。嬉しかったですね。2012年5月のことでした。私は蹲みたいなものをちょんと据えて、くらいだろうと思っていたのですが、現地を撮った動画を見たら、場所はテキサス州で、ものすごく広いんです!

甲木・横山:そうなんですね(笑)

江頭:茶庭で使う腰掛待合と庭門などは絶対に日本から持っていきたかったから日本で作らせました。友達の大工が一度作って、送るために分解して梱包して輸出したんです。その時に初めて、輸出のこと、コンテナのことなどをゼロから勉強しました。知らないことばかりで、輸送会社に電話したり、それこそGoogleで調べたり。そのGoogleと将来縁が出来るとは思いませんでしたね。

甲木:ホントですね!

江頭:そのとき助けてくださったのは自分たちが使っている梱包会社で、関係する業務を全部やってくれました。…この年になっていろんな勉強をしましたね。

甲木:そうですね。10年前のことですから、64歳でテキサスに行って、そこからですね。アメリカとのお付き合いは。

江頭:そうなんです。

造園を始めたきっかけと、これからやりたいこと

甲木:そもそもですね、江頭さんはなりたくて造園業の道に入られたんですか?

江頭:造園業は親がやっていまして。実は兄貴も戸畑区一枝で同じ屋号でやっています。高校も兄貴が行った農芸学校に行きまして、高校3年の時には先生から農大への推薦状を書くと言われましたが「勉強は嫌いで、親の跡を継ぐからいいです」と断りました。だから造園業は最初はただ親がやっているからやり出したわけです。しかしやり出したら、親元を離れたいのと、どうせやるのならとことんやるという私の性格からもっと一歩を踏み入れたくなり、京都に行ってお茶を習って茶庭を作りたいと思ったんです。

甲木:あー。なるほど。

江頭:そして京都ではお茶の他にお花も習いました。私たちの時代はお茶やお花は女性が花嫁修業のために習うものだったから、「お前は女の子目当てで習いにいっているのではないか?」とも言われていました。でも勉強したおかげで、庭にある物語がわかり、理解が深まった。本当に奥が深い世界です。

甲木:江頭さんはさきほどから「私はこの年だから」とおっしゃっていますが、まだ気持ちが若々しくいらっしゃるから、これから挑戦したいことがおありではないかと思いますが。

江頭:機会があれば、アメリカで仕事をもっとやってみたいです。

甲木:コロナが明けたら、またありますよね?

江頭:お呼びはかかると思います。サンフランシスコで知り合ったビルさんという造園屋さんが、呼べるようになったら親方だけでも呼びたいと言ってくれています。こういうことは行きたいと思っても行けるものではないので、要望があり、体が許す限りはどこにでも飛んでいきます。本物の日本庭園を作りたいと思っています。

横山:ありがとうございました。いわゆる世界を舞台に、という話ですから、すごく興奮しました。北九州の造園業の方が世界で活躍、ということですから。

甲木:誇らしいですね。…2回にわたり、小倉北区の造園業、江頭翠楽園の江頭博明さんにお話しを伺いました。江頭さんありがとうございました。

江頭:ありがとうございました。

横山:ありがとうございました。

 

〇ゲスト:江頭博明さん(江頭翠楽園 園主)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)

(西日本新聞北九州本社)

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