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【ファンファン北九州#14】北九州市立大学准教授 アン・クレシーニさん <後編>

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

何で桜見って言わないの? 東北の震災で感じた桜の力

甲木:横山さん、先週は勉強になりましたね。今回もバンバン勉強したいと思います!それでは先週に引き続き、北九州市立大学准教授アン・クレシーニさんをお招きしています。よろしくお願いします!

アン:よろしくお願いします。

甲木:横山さんが「桜見」「花見」って話してたんですが、これアンちゃんが元々疑問に思ってたことなんですよね。

アン:そうね。とにかく、日本人は桜が好きすぎてたまらん!ということをずっと前から思っていて。東北の震災後、日本中暗い雰囲気だったんだけど、桜が咲き始めたら、なんとか乗り越えられるような雰囲気になったよね。その時、初めて桜の力に気づいて。だけど、花見に行くとき結構寒いんですよね。

甲木:うん、寒い。

アン:だから、私アメリカ人として「何でこんな寒い中、ビール飲んだり花見るんだろう?何の魅力があるの?」ってずっと思ってたんだけど。桜は、日本人にとってすごく大事なものだなと。ただの花じゃない!でも、「何で桜を見に行くのに『花見』っていうの?いっぱい花があるのに」って宮本さん聞いたら、すごく長い解説が返ってきて。元々「花見」というと、庶民は梅の花を見に行って、貴族は桜の花を見てたんですが、時間が経つにつれて、庶民も桜を見れるようになってくると「花見」の意味も梅から桜へ変わっていったんですよね。

さ・くらの意味と日本人の宗教観

アン:結構、日本の文化と宗教観にすごく繋がりがあって。桜の木に「神様が宿っている」って考えがありますよね。その桜の意味、甲木さんはご存じですか?

甲木:アンちゃんと宮本元アナウンサーの本を読んで勉強しました。「さくら」の「さ」は田の神様を表します。「くら」は神が座る場所。それで「さくら」。

アン・甲木:知っとったー?

横山:それは知らんかった。

アン:日本の文化は神道の考えがものすごく根付いているから。桜も神様が宿っていて、神様が降りてきてお酒や食べ物をお供えする考えがありますよね。今は、そう思っている人はいないと思うんですけど、元々はそうだったんですよね。日本の文化・伝統はほとんど神道・仏教に由来するから、文化と言葉と世界観と宗教観は分けることができないって思いますね。

横山:そうですね。

アン:「何で桜見って言わないんですか?」って考えたことないですよね?

甲木・横山:考えたことない。

アン:外国人の視点から見るといろんな新しい発見があるから、日本人も自分の言葉、文化の再発見ができるんじゃないかなと思います。

八百万の神の日本と、一神教の国アメリカ

甲木:それは言われるまで気づかないですよね。「花見=桜」って思いこんでいるから。自然に神様が宿ってるみたいな感覚は、アメリカ人にもあるんですか?

アン:日本は多神教の国、八百万の神様の国で、アメリカは一神教の国、キリスト教なので最初はすごく不思議でした。何でも神様が宿ってるという考えはアメリカには一切ないから、最初はすごく理解しづらかった。だけど、長く住めば住むほど、こういう考えは日本人の土台になっているんじゃないかと思うようになって。

何となく理解できるようになってきた。宗教観が分からないと、日本の文化は全然理解できないんじゃないかと思う。アニメ「鬼滅の刃」でも、バリバリ日本の世界観が入っていますよね。日本人は観てすごく号泣するけど、外国人が観ると感動はするけど、日本人ほどはないんじゃないかな。

甲木:今、世界でヒットしているけど、日本人ほど深く理解は…。

アン:めちゃくちゃ意味が深いんよ!あのアニメ!私、ずっと日本に住んでるから結構分かるところもあるけど、それでも分からないところがある。だから、全く日本の文化が分からなかったら、表面上は感動しても深いところまでは分からないんじゃないかな。

アンちゃんの言葉って博多弁?それとも北九州弁?

甲木:今、アンちゃんとお話してて気づいているかもしれないけど、所々に博多弁が差し込まれてて。この方言は、生活している中でだんだん身に付いてきたんですか?

アン:そうね。北九州に10年以上住んでて、5年前に今住んでる宗像に引っ越して。宗像に引っ越した後、友達と話すことが増えて、宗像弁か博多弁になって。最近、東京で仕事もしているから、すごい変な標準語にもなってきて。(笑) それに、私のマネージャーが関西の人だから、関西訛りの標準語にもなってきてるような感じ。たまに、北九州弁とか博多弁も出てきて、結局私どれで話してるか分かんなくなって。(笑)

「○○○しなあかんけんさ」とか関西弁と博多弁のミックスみたいな。よく講演会で「何であなた関西弁喋ると?」って言われるんですけど、友達とか家族と話しているときはバリバリ博多弁が出てると思うんやけどね。

甲木:そっか。子どもたちも博多弁に馴染んでるしね。

アン:けど、講演会とかラジオで、いきなり「アンちゃん博多弁喋って!」って言われると緊張するよね。「はい!えっと、何喋ったらいいですか?」みたいな感じになりますよね。(笑)

甲木:知らないうちに、自然に出てきてる感じなんですよね。あのね、西日本新聞連載の「アンちゃんの日本GO」のファンの方が「この人は北九州市立大学の准教授なのに、書いてることは博多弁。もっと北九州弁で書いてほしい!」って。

アン:そうよー!!やっぱり北九州と博多は結構違う。北九州弁はこれ!博多弁はこれ!って。絶対混ぜないでほしいって。

甲木:そう。だって江戸時代は国が違ったんだから。筑前黒田藩と豊前小笠原藩で国が違うから言葉も違う。

アン:一回、私のブログを読んだ方が「あなたのブログすごく面白い!でも、お願い!もうちょっと北九州弁使ってくれん?」って言われたんですよ。

甲木:そうっちゃ!そうっちゃ!

アン:だから、たまに「○○○けん」を「○○○け」に変えたりとか、「○○○ばい」を「○○○ちゃ」に変えたりとか。そうすると、私の読者は幸せになるんじゃないかなと思うんだけどね。

甲木:これからも北九州弁を増やして!(笑)

アン:北九州好きっちゃ!(笑)

楽しいもの全部奪ったコロナと、新しい幸せを探す暮らし

甲木:2020年はいろんなことがあった年で、アンちゃんにも振り返ってほしいんですけど。

アン:そうね。めっちゃ大変だったよね…。世界中のみんなにとって。最初、4~5月の自粛の間、私はすごく鬱になりかけたんよね。3月末に、私の父親が突然亡くなって…。アメリカに戻ることが出来なかった。葬儀も出来なくて、母親のところにも行けなかった…。そのあと、講演会やテレビの仕事も全部なくなって、大学もオンライン授業になって。楽しいことを全部奪われて、好きじゃないことしか残ってないような気持になりましたよね。

でも、私の友達が「あなたの気持ちは分かるけど、あなたは生きなあかんよ。お父さんの分まで生きなあかんよ」って。たぶん、コロナはまだ暫く続くから、新しいこと、新しい喜び・幸せを探さなあかんと思って。今までの仕事は出来なくなってるけど、「じゃあ新しい仕事探そうか!」って。それで、いろんな新しい仕事のオファーが来て、オンラインの授業もできるようになって。自身のコンピュータの技術も上がったから良いこともあったなって。

甲木:アンちゃんに新しい技術が身に付いた!

「なるようにしかならない」って日本語が好き

アン:それは、「コロナのせい」というより、「コロナのおかげ」という言い方が良いんじゃないかなと思って。正直どうなるか分からないけど、「なるようにしかならない」っていう日本語が好きで。アメリカ人は「どうしても何とかしたい!」という気持ちから、「仕方がないとかじゃなくて、私が何とかします!」って言うよね。

それは良い時もあるんだけど、本当にどうしようもないようなときは、「なるようにしかならない」って思うと気持ちが楽になるよね。このめちゃくちゃな中で、どういう風に幸せに暮らせるかって考えるしかない。「今を生きる」という概念も、日本人にはありますよね。あれもすごく好き。新しい生活様式はまだ暫く続くから、どうやって今を幸せに過ごせるかっていうのがポイントだなと思います。

ズムる、ズムりましょう、ズムらなあかん

甲木:新しいお仕事っておっしゃっていましたけど、それはどんなお仕事?

アン:東京の「インフォファクトリー」という会社で「アンちゃんのハローイングリッシュ」というオンラインスクールを作ったり、一生懸命頑張っています。あと、オンライン講演会も今まで一回もZOOMしたことなかったけど、今はズムりまくってる!(笑)

甲木・横山:ズムりまくってる。(笑)

アン:友達と新しい単語作った!(笑)「ズムる」「ズムりましょう」「ズムらなあかん」とかいろんなパターンがあるから面白いんですよ!

甲木:なるほど。それもコロナのおかげでできた単語ですね。

アン:コロナで世界中のみんなが苦しんで大変で、どうしようもないから。じゃあ、どうやって悪いことを良いことに変えるかを考えるしかないと思うんですね。来年は幸せな一年になってほしいけど、一番大事なことはみんなで力を合わせて頑張らないと。最近は、コロナハラスメントとか外国人に対しての差別とかあるんですよね。

パンデミックの時って怖いので、普通言わないこと、思わないことが出てきますよね。でも、人間性が試されてるなとすごく思うから。怖いとき、どうしたらいいのか分からないときでも、「みんなで力を合わせて頑張りましょう!」というのは日本の大事なところだから。そういう考えを活かして、みんなで頑張ってコロナを乗り越えてほしいなと思うんですね。

甲木:その「シュウソク」は「収束」ですね。みんなの力で「収束」する。

アン:いつか完全に「終息」になってほしいなと思うんですけどね。

甲木:そうですね。

アン:これは永遠に続くわけではないので。でも、「早く前のように戻ってほしい」というよりも、ポジティブに考えた方がいろいろ楽になるんじゃないかなと思います。

甲木:新しくズムる技術とかを習得してるから、これから先もずっと使い続けたいですよね。それに、アンちゃんの授業を実際に受けられない人も、オンラインなら全国どこからでもアクセスできますもんね。

アン:そう。先日、オンライン講演会をして、アメリカ、埼玉、東京からの参加者もおったし。普通ならそんなことしようと思わないけど、今はせざるを得ない状況になってるから。それもコロナのおかげだなと思っています。

「日本人」がプリントされたTシャツ。どこで買ったの?

横山:最後にどうしても聞いておきたくて。そのTシャツどこで?(笑)

アン:Tシャツに「日本人」て書いてありますね!私、原宿が好きで、東京に行く度にこういう漢字が書かれているTシャツを1枚買う!

甲木:原宿に絶対こういう外国人いる!(笑)

アン:日本人が着たら相当ダサいやろ?(笑)

横山:相当ダサい。絶対着ない。(笑)

アン:外国人はなんとか行けそうでしょ?(笑) こういう「日本人」とか「ぴえん」とか。

甲木:「ぴえん」のTシャツもあるの?

アン:あるある!「なるほど わからない」「標準語話せません」「アメリカ人じゃない」とかいろんなTシャツを買ってて。それを私のトレードマークみたいにしました。

甲木:似合います!

横山:カッコイイ!

アン:めっちゃ好きです!

甲木:パンクな感じが今日も!

アン:炭坑節が好きなパンクなヤンキーな人です。今度、炭坑節歌ってあげましょうかね!

甲木:次にゲストに来てもらったら歌ってもらう!

アン:是非!!

〇ゲスト:アン・クレシーニさん(北九州市立大学准教授)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、横山智徳(同)

(西日本新聞社北九州本社)

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